#25.12.05 - Blog
~ Serendipity ~ 松本美弥子さんとの出会い
松本さんとの出会いはかれこれ25年ほど前。
Carafeで取り扱える作家さんの作品を探しに陶芸の街瀬戸で行われた瀬戸物市へ
出かけた時のことです。その頃は松本さんは今とは少し違った作風ではあったものの、
ある意味今と変わらない、温もりがありながらすっきりとした表情の器などを展示
されていました。
いわゆる作家さんの個性が前面に主張している感じの展示が多かった中、和にも洋にも
寄りすぎないシンプルで清潔感のある作品に心を惹かれて声を掛けさせていただいたのを
覚えています。
当時、海外の展示会などで素敵だな、とつい目に止まるのは何故かオランダやベルギーの
デザインが多く、家具やインテリアを直接輸入及び販売していました。
ただ、海外のテーブルウェアは、デザインは素敵でもサイズ感に難があったり日本の食生活
には合わなかったりしてなかなか定番と呼べるものに出会えていませんでした。
Carafeのライフスタイルにもしっくりと馴染みながら、和食洋食問わず気負いなく使える、
かつ工業生産されたものではない食器、というのを探していた頃です。
その出会いから松本さんの作品を扱わせていただくようになって程なく、Main(マイン)と
いう仏語で「手」を意味するCarafeオリジナルの食器シリーズを作っていただけることに
なりました。2人であれこれ試行錯誤しながら白磁のシンプルで女性の手にしっくりと
馴染むカップやボウルなどを作っていただき、それらは長年店の定番となって今でも
我が家では毎日のようにテーブルに並んでいます。
白い器ももちろん、今では松本さんといえば銀彩、とも言われる美しい銀を纏った
シリーズも有名ですよね。また、ここ数年松本さんの代名詞となりつつある、草花を焼き
付けた”nuance ~ニュアンス~”というシリーズがあります。その時に心に響いた草花を
作品と一緒に窯に入れ焼き付ける独自の手法で、焼き上がって窯から出てくる表情は
予想できない偶然によって生み出された2度と再現できないたった一つのものだそう。
松本さんも、どんな風に焼き上がってくるか予測不可能、「ふふふ」と笑っていました。
草花が派手にその形を残す時もあれば、そうでない場合もあると。でもどんな姿も全て
偶然がもたらす運命であって、再び出会うことのない愛おしい存在なのですよね。。
実は今回個展のDMに使った銀彩は我が家の庭の紫陽花の生まれ変わりです。。
個展の打ち合わせに松本さんが来られた時、せっかくならこの庭からの草花で作りたいと
持ち帰られました。常にマイ鋏とマイ・スコップを持ち歩く陶芸家(笑)。焼くと何の
花だったか分からなくなってしまう場合もあるらしいですが、この紫陽花は主張が強い
性格だったのかしっかりと残像を残してくれました。酷暑に耐えて夏も咲いていた
アナベルが、一枚のプレートの上に刻印されて再会した時に沸いた愛おしく幸せな
気持ちが『Serendipity』のタイトルに繋がったのです。

個展開催に際し、個人的にはまだお互いに駆け出しだった頃から今日までの人生の節々に
こうして松本さんと交差する時間が持てることに感謝しています。
松本さん、今や国内だけでなく海外のイベントでもご活躍で多忙な中、古巣のCarafeで
個展開催を快く受けてくださって本当にありがとうございました。
思えば以前は松本さんの個展が年末の知らせでした。今年も8年振りにそんな高揚感を
味わえること、そして久しぶりに美弥子さんファンの皆様にお会いできることを楽しみに
しております。
食器だけでなく、フラワーベースやランプシェードなど、胸にキュンと響くSerendipityな
作品が多数並びますので是非お越しください。
スタッフ一同、皆様と同じくらいどんな作品に出会えるか楽しみにしながら個展の開催を
楽しみにしております。
Carafe STUDIO
Aizawa
松本美弥子 個展
『 Serendipity ~幸運な偶然~ 』
〇会期 2025年12月13日(sat.)〜26日(fri.)
Open:10:00-18:00
Closed:(水) (木) 祝祭日
〇会場 Carafe STUDIO https://maps.app.goo.gl/1BhP6LMty4b5vBtH9
〇作家在廊日 12月13(sat.)・14(sun.)
